クルマに取り付けられるナビゲーションシステム(通称カーナビ)は、知らない土地での道案内という位置付けから、CDやDVDなどの再生、テレビの視聴、Bluetoothとの接続、車両の状態(エンジン関係や空調調節)管理、体調不良や緊急時の通報システムなど、総合的な情報端末として活用されるなど、大きく進化してきた。
しかし、近年では、スマートフォンの進化によって、わざわざカーナビを取り付けなくてもアプリによって道案内や、ハンズフリーによる通話、メディアの再生が可能になるなど、カーナビがなくても快適なドライブが実現できるようになり、カーナビの存在感は徐々に薄れてきている。
そこで登場したのが、いま流行りの「あおり運転」に対応したカーナビだ。
パナソニックは、本体サイズはそのままに従来の9インチから10インチに大画面化したカーナビ「ストラーダ」シリーズの新モデル「CN-F1X10BD」を発表。
なんといっても注目は「あおり運転」に対応した点だ。
具体的には、クルマの前と後ろの両方に2つのカメラを設置することで、前方だけでなく後方の様子も画面で確認、録画できる。
付属するステッカーをクルマに貼ることで録画されていることを周囲のクルマに知らせることも可能。これにより、危険運転の抑止も期待できる。
実際、録画されていることが分かった途端に危険な運転が止まったという事例も多い。
不慣れな道を走行する上で、カーナビが果たす役割は大きい。
とはいえ、道路に無数にあるといっていい標識の確認はドライバーに委ねられている。そこで、今回発表されたカーナビでは、より安全に走行できるサポート機能の充実がはかられている。
以下、具体的な機能を紹介する。(プレスリリースより)
●一時停止や制限速を知らせる「安全・安心運転サポート機能」
→道路標識を事前に音声と画面表示で注意喚起する。生活道路区域である「ゾーン30」では色分け表示され、エリア内で速度を超過すると警告される。
●高速道路/有料道路での逆走検知・警告を強化
→高齢ドライバーだけではないが、料金所手前でUターンしてしまったり、入口と出口を間違えて進入してしまったりして発生する逆走。そうした逆走が発生した際には、音声を画面表示によって警告される。
●信号情報活用運転システムでスムーズな走行をサポート
→高度化光ビーコンの情報を活用した「信号情報活用運転支援システム」に対応。青信号通過を知らせる「信号通過支援」、早めの減速を促す「赤信号減速支援」、赤信号から青信号への残り時間を知らせる「発進遅れ防止支援」で、スムーズな走行をサポート。
現代の交通事情を考えると、あおり運転などの危険運転の抑止を期待できるカーナビの登場は喜ばしいことだ。
しかし、すでに既存のカーナビが取り付けられているクルマに対しては、ドライブレコーダーで十分という気もする。
ただ、現状のカーナビやスマートフォンでのナビ運用に不満を感じているドライバーや、これからクルマを買い換える予定のあるドライバーにとっては、今回発表されたカーナビ(取付可能車種は400車種以上にも及ぶ)を選ぶ理由は十分にある。
ひとたび公道に出れば、いつ危険な運転に遭遇するかわからない。そんな現代の道路環境において、あおり運転に対応したカーナビを選ぶのは、もはや必然といえるだろう。