ドイツの自動車大手フォルクスワーゲンは7月10日、カブトムシの愛称で親しまれた大衆車「ビートル」の生産を終了した。
ビートルは、ドイツのナチス政権下において、高級品だったクルマをより身近なものにしようと「国民車構想」によって誕生した大衆車における歴史的一台だ。
細かいモデルチェンジを繰り返したものの、1938年の生産開始以来、81年間製造され、世界で最も長期間製造されたクルマとしてギネス記録を保持している。
1938年 ヒトラー首相の国民車構想によって誕生 車名は「タイプ1」
1949年 累計生産1785台に到達
1947年 国外輸出を開始 ブラジルやメキシコでも生産開始
1952年 ヤナセが日本での販売を開始
1972年 累計生産1500万7034台を達成
1978年 本国ドイツでの生産を終了
2003年 メキシコ工場で生産を終了 累計生産約2153万台を達成し終了
1994年 デトロイトモーターショーで原型「コンセプト1」が発表
1998年 ニュービートルとして生産を開始
2005年 マイナーチェンジ
2010年 日本での販売を終了
2011年 ニュービートルから「ザ・ビートル」に車名を変えて発表
そして
2019年 7月10日 生産終了 最後の一台は博物館に展示予定
日本では年内での販売終了を予定している。
初代ビートルとも言えるタイプ1は、頑丈なボディで悪路や悪天候といった酷使にも耐えうる強靭さを持ち、材質がよく整備性にも優れ、大人4人が乗っても高速走行可能なハイパワーが高く評価された。
時代の流れに合わせて計3回の大幅なモデルチェンジを繰り返し、81年にも渡って生産されたクルマは他にない。
悪く言われるナチスドイツのヒトラーだが、国民車構想による大衆車の誕生は、ヒトラーの政策の中でも最も評価される政策構想のひとつとされる。
メキシコ工場では7月10日に最後の一台が完成。生産終了を祝うセレモニーが開催され、限定モデルの発表などが行われた。
父親も初代ビートル「タイプ1」に乗っていた時代がある。それもあり愛着のあるクルマだった。
2年や3年でモデルがコロコロと変わる現代のモデルサイクルにおいて、ひとつのクルマが80年以上続くことは驚愕だ。
愛らしいポップなデザインもまた、他にはない希少性がある。
またどこかで会おう。
さようなら、カブトムシ。
バイバイ!ビートル。