今回は、実用ブランド編の第二弾。
さっそく紹介していこう。
今回は、
①ボーム&メルシエ
②カルティエ
③ブライトリング
④ジャガールクルト
の4ブランドだ。
※価格は公式サイトやネットの情報を元に、むろブログ独自に調べた価格(平均や相場)を掲載
1830年に創業し今年で190年近い歴史を誇る名門ブランド。社名は、1930年に創業家の3代目にあたるウィリアム・ボーム氏と、実業家ポール・メルシエ氏がタッグを組んだことに由来する。1800年代後半から1960年代にかけて天文台での時計の精度コンクールが行われていたが、同社も1887年に史上最高得点を獲得する高い技術力を有していた。名門ブランドで高精度・高品質ながら、現行モデルでも20~30万円台という価格設定が行われており、入門機としてはもちろんのこと、ハイエンド機としても価値が高いブランドだ。
価格:35万6400円(公式サイト 2019.6現在)
【ポイント】
●高品位デザイン
このようなシンプル3針で白文字盤だと、仕上げの違いがよくわかってしまうため、一見キレイでもよく見ると…?ということが多い。このクラスの値段でありながら、文字盤、針、日付、ブランドロゴなどがとてもキレイで仕上げの良さがある。30万円台とは思えない作り込みはさすが名門ブランドだ。
●120時間のパワーリザーブ
機械式時計はゼンマイを巻き上げて駆動する。他のブランドでは40時間から80時間程度が一般的な中、この時計は120時間も駆動する。5日間も駆動するとなれば、駆動しているかどうかの心配はいらないだろう。
●シリコンによる高帯磁性能
一般的な機械式時計は金属部品が多用されるためどうしても磁気を帯びてしまい時計の精度に影響する。この点は以前にも述べた通り。そこで、シリコン製のひげゼンマイを使用することで、注油の必要性がなく磁気も帯びにくい。メンテナンスサイクルも長くランニングコストを抑えられる。高価な部品であるためより高価な時計に採用されることが多い中、この価格でこの性能を出してきたことに驚くほかない。
ジュエリーのイメージが強いカルティエだが、時計の歴史も長い。さかのぼること19世紀末。宝石商ルイ・カルティエが経営に携わることで時計界へと進出する。1904年に探検飛行家アルベルト・サントス=デュモン氏の依頼を受けて、世界ではじめての男性用腕時計「サントス」が完成した。当時は懐中時計が一般的だったが、腕に身に着けることができる時計は飛行家に限らず画期的だった。
価格:72万6300円(公式サイト 2019.6現在)
【ポイント】
●個性的なデザイン
なんと言っても個性的なデザイン。見ただけでカルティエとわかるそれは、特徴的な数字や交換可能な多彩な革ベルトが魅力だ。世界で初めて実用化された男性用腕時計という点も男ゴコロをくすぐられる。
1884年の創業当時からパイロットに役立つクロノグラフの開発に注力。1915年には世界で初めてとなる専用プッシュボタン付きクロノグラフ腕時計を完成させた。その後、航空用回転計算尺を搭載した名機「ナビタイマー」や「クロノマット」など多くの傑作を世に送り出してきた。いずれもプロ用の計器ということを前提にしているため、同社の時計には周波数121.5MHzの国際航空遭難信号発信機を装備しているモデルもラインナップされている。これらは航空法や電波法で定められた航空従事者や無線従事者しか購入できない。
価格:103万6800円(最小構成価格 公式サイト 2019.6現在)
【ポイント】
●多彩なデザイン
黒文字盤、白文字盤、青文字盤、革ベルト、ステンレスベルト。まったく同じモデルなのに、こうも表情を変える時計は珍しい。高度な回転計算尺が時計のデザインの象徴となっている。
●高い視認性
時分秒にはスーパールミノバ(夜光に使用される蓄光性夜光顔料)によるコーティングにより、時刻が読み取りやすくなっている。
価格:116万6400円(予価 公式サイト 2019.6現在)
【ポイント】
●日本限定モデル
クロノマットシリーズの中でも高い人気を誇るMOP文字盤を採用する日本だけの300本限定モデル。
●広大な空をイメージ
文字盤には広大な空をイメージさせるパールを用いたブルーが印象的。航空時計を多く手掛けてきたブライトリングらしい一本。
1833年に創業。ジャガー・ルクルトは、スイス時計界の中でもかなりの長い間マニュファクチュール体制を維持してきた超名門ブランド。あの世界5大時計ブランドの1つであるヴァシュロンコンスタンタンでさえ、かつてはジャガー・ルクルトのムーブメントを使用していた時期がある。スイス時計界では長らく、ムーブメントのみを製造する工房が多く存在しており、有名な時計ブランドであってもムーブメントは他社製ということが当たり前だった。完全自社生産の時計ブランドは少数派だった時代にもジャガー・ルクルトはマニュファクチュールを堅持してきた、スイス時計界イチの高い技術力を有する。
※マニュファクチュールとは:ムーブメント(時計の内部、駆動部分)をすべて一貫して完全自社生産すること
価格:93万9600円(公式サイト 2019.6現在)
【ポイント】
●反転するケース
ポロの試合中でも時計を保護できるモデルが欲しいという要望から誕生したレベルソシリーズ。ケースを反転させ文字盤を格納すれば、万が一ポロのスティックが当っても時計を保護できる。ジャガー・ルクルトを代表する機構。
価格:89万6400円(公式サイト 2019.6現在)
【ポイント】
●薄いケース
商品名にもなっているウルトラスリムというほど薄くはないが、かなりスリムに仕上げられているため、着け心地は抜群。腕へのフィット感は他に類を見ないほど(個人的見解)だ。
●無駄のない究極のデザイン
そこに必要なものは、現在時刻、以上。さりげない日付枠と長い歴史に裏打ちされたブランドロゴが時計の奥深さを静かに物語っている。時代に左右されない永遠かつ究極のデザインがここにはある。
●背面のシースルーバック
何十万円も支払って入手した思い入れのある時計なのに、その心臓部であるムーブメントをまったく見ることができないのは少々悲しい。それが、一貫してマニュファクチュール体制を維持してきた名門ブランドのムーブメントとなればなおさらのことだ。近年は、時計の裏面をシースルーにして時計内部の構造を見られるようにしているものが多い。じっくり眺めて歴史に思いを馳せようではないか。