昭和55年12月、世田谷区は主家と土蔵1棟、椀木門を復元し、江戸後期の典型的な農家を再現した「岡本公園民家園」を開園した。
テーマは「生きている古民家」。外観は趣ある雰囲気を漂わせており、まるでタイムスリップしたかのよう。
家屋内には自由に入ることができる。中央にある囲炉裏は毎日火が焚かれるという。そのほか、民具や収納スペースなども見ることができる。
家屋の隣には納屋もあり、井戸などの水回りも再現されている。
ここで、今回の静嘉堂文庫美術館に来館した際に入手したアイテムを紹介しよう。
1つ目は、日本に三碗しか存在しないとされている「曜変天目」の同時期の公開を記念した限定クリアファイル。表の面には碗を真上からとらえた写真が並ぶ。
裏面には、斜めから碗をとらえた写真を掲載。背景が暗いので碗がより強調されている。
2つ目は、今治タオル。注目は右下に曜変天目茶碗の刺繍が施してあること。色はホワイト、ピンク、グリーンの3色。写真はグリーン。
3つ目はポストカード3種。館内は写真撮影が禁止されていたため、ポストカードで少しでも雰囲気を味わってもらおう。
最後は、あらゆる角度から撮影されたクリアファイル。曜変天目独特の模様を拡大したデザイン。強烈なインパクト。知らない人からすれば、少し気持ち悪いかもしれない。宇宙や天体模様のように、見えないこともない、ような。
決して碗に興味があるわけではない。しかし、少しでも興味を持ったものに触れてみることは大事なことだと改めて実感した。ましてや国宝など人生で一度も触れたことがないともなると、その高揚感はなおさらだった。
「“若さ”とは過去を振り返らないことだ」と、どこかで聞いたことがある。乳児や幼児には振り返る過去がない、だから若々しいのだと。
歴史的芸術品に触れることは過去を振り返ることにほかならない。しかしながら、歴史ある逸品に触れることで“新鮮”な気持ちにさせられた。若返ったとまでは言わないが、何百年もの間、変わらずに存在する曜変天目を目の当たりにして、歴史ある逸品には経年変化や劣化を感じさせない不思議な魅力があった。
今回の静嘉堂文庫美術館への来館は充実した散策となった。