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【試乗記】トヨタコンフォート

コンフォートSG

ひと昔前のザ・セダン


1995年から2017年までの22年間、日本の道路、交通輸送の主力選手として長らく活躍したトヨタ コンフォート。生産終了した今だからこそ、このクルマを見つめなおしてみたいと思う。

まずはスタイリング。ザ・セダン。その言葉に尽きる。全体的に昭和の雰囲気を色濃く残し、フロントやリアのバンパー、ヘッドライトのまわりなどのパーツとボディとの間には、なぜこんなにというほどの隙間がある。ほんと隙間だらけ。スカスカ。トランクをあければ、裏側の見えないところにはボディ素材を取り付けた接着剤らしきものがそのまま残っている。

いざ、ドアを開けて乗り込むと、意外なほど室内は広く感じる。座席のホールド感はないものの、座り心地はさほど悪くない。シートは全体的にビニール素材でできており長時間座っていると蒸れる。ムレッムレだ。これは、タクシーであるがための仕様といえよう。雨の日に乗客の傘から垂れた雨水や、こぼした飲み物などを掃除しやすいため。

運転席からの視界はいい。最近はデザインを優先することで後方の視界が犠牲になっているクルマが多い中で、コンフォートは後方の確認がしやすい。

さらに、エアコンには、マイナスイオンを発生させるプラズマクラスターを採用。室内の空気環境を快適に保っているらしい。実感はできないが。


ふにゃふにゃと高剛性を両立⁉

アクセルを踏み込むと2リッター、113馬力のエンジンは静かにうなりだす。少しざらついた印象も受けるが不快ではない。ただ、時速60㎞/hまでの加速ならなんの問題もないが、それ以上となるとエンジン音が大きくなるように感じる。これも味と思えば異論はない。

次にハンドリング。ハンドルは軽すぎず重すぎない。これを利点ととるか、欠点ととるかは人によって、あるいは用途によって違うかもしれない。しかし、ハンドルを全開に切ると異音がして重くなる。これは故障や整備不良ではなく、想像するにクルマの剛性からくる音ではないだろうか。コンフォートはクルマの剛性を高めるためあえて車体の溶接スポットを少なくしていると聞いたことがある。車体全体をふにゃふにゃにすることで、逆に剛性を高めているのかもしれない。

だが、座席のホールド感が少ないことから、時速40㎞/h、ノーブレーキでカーブを曲がっていくと、かなりロールして遠心力の力を大きく受ける。時速60㎞/hだと腰が浮き上がるほど。ワインディングを長時間走ったらきっとクルマ酔いを起こすだろう。

総評

古さを感じるものの、嫌いなデザインではない。このコンフォートをベースに近代風にデザインをアレンジしたらきっとカッコいいクルマに生まれ変わるはず。性能も機能も充実してはいないが、間欠ワイパーなど外国車にはない親切装備はうれしい。

クラウンコンフォートデラックス
クラウンセダンスーパーサルーン

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