趣味の世界には実に様々な「沼」が存在する。腕時計、自転車、照明、スニーカー、メガネ、ギター、コーヒー、釣り、スキー、アニメ、ゲーム…あげればきりがない。どれをとっても底なし沼だ。
そんな中、よく言われるのは「レンズ沼」。一眼カメラを趣味としてはじめると、さまざまな写真を撮りたくなり、カメラのボディを購入した際に付属してくるキットレンズでは満足いかず、他のレンズが欲しくなってくる。販売メーカーのやり方も上手で、初心者向けの安価なレンズでさえそこそこの品質を保っている場合が多く、高価なレンズの期待値をあげる。安くて性能のいい、いわゆる「撒き餌レンズ」がその沼の入り口だったりする。あの手この手で沼に引きずり込むための戦略が存在するのだ。
個人的には、いずれの沼にもはまっていない!(かつては映画沼にはまったことも)つもりではあるが、昨年ソニーから発売されたワイヤレスポータブルスピーカー「SRS-XB01」を導入してみた。普段から音質にこだわることはほとんどしない、聞こえればいい、その程度だ。しかし、この製品、「オーディオ沼」の入り口のニオイがプンプンしてくる、そんな製品だ。
液晶モニターはアイ・オー・データのものを使用している。コスパもよくモニターとしての不満はほとんどないが、音質がこもって聞こえるのが唯一の難点。だが、高価な外部スピーカーを導入するほどこだわりもない。そこで偶然見つけたのが、今回紹介する「SRS-XB01」というわけ。価格は実売で4千円弱。
メーカーのホームページから製品の特長を以下にまとめてみた。
▼直径約37.5cmのフルレンジスピーカーを搭載
→迫力の重低音とクリアな音質を実現
▼本体背面に低音増強振動版ユニット「パッシブラジエーター」を実装
→存在感のある低音域を実現(存在感? ちょっと何言ってるかわかんない)
▼Bluetooth対応
→スマホ、PCと接続して簡単に音楽再生、ハンズフリー通話が可能
▼JIS防水保護等級IPX5相当の防水性能を実現
→バスルーム、プールサイド、キャンプなど水気の多い場所でも使用できる
▼バッテリー内蔵
→3時間の充電で最長6時間の再生が可能
まず、音質。液晶モニターのスピーカーよりはいい。低音が響く。スピーカーが1つだけなので、別の機器から音が出ている感じはあるが、価格も手ごろなので、2つ3つと複数個をつなげばより臨場感のある音質を楽しめそう。今のところ1つで満足。
次によかったのは軽さ。約160gでポケットにも楽々入る。ストラップが付属しているのでリュックや壁などに吊り下げて使うのもいい。
さらにBluetoothも便利。スマホからダウンロードした曲を聴いてみても、ワンタッチでBluetooth接続できて、ケーブルレスなのは手軽。もちろんステレオミニジャックでの接続も可能なので、Bluetoothに対応していない機器の音も再生可能だ。
スピーカー本体にも音量調節ボタンがついているので、直感的に音量の上げ下げができるのはうれしい。電源ボタンなども大きくて押しやすい。
バッテリー持ちも悪くない。フル充電して約5時間くらい再生してみたが、バッテリー切れはなかった。
音質は低音が効いている感じで音質全体は悪くない。そこそこいい感じ、という評価。だが、価格的にもさほど期待していなかった分、ソニー製のアクティブスピーカーの評価は高まった。高機能であればあるほど良いというわけではないシンプルさ、手軽さ、そして安さが高評価につながっている。
クルマの中でも聴いてみた。クルマにはもともと大きなスピーカーが、それも3つ4つと複数個付いているため、かなわないものの、狭い車内ではスピーカー1つでも充分。かなり音量を上げてみたが音割れもなく快適だった。こうなると、別のアクティブスピーカーも試したくなる。・・・?
ほら!
これが「オーディオ沼」の入り口というヤツか。ソニーの戦略にやられた感。